道草(ネタバレありません)#612
「運命じゃない人」
監督:内田けんじ
日本映画ベストテン 第5位(キネ旬 2005年)
以前当ブログでも書いたが、私はお話がよければ映画に満足できる人。つまりは脚本がしっかりしてないとダメ、とも言えるわけだが、今回の作品を観て、これこそその典型だと感じた。邦画によくあることだが、予備知識がないもので驚きは洋画の倍以上になる。
ある平凡なサラリーマンのマンションの一室から、5人の物語を紡ぐ、のがこの作品のあらすじ。これを時間軸、視点を変えて観客に提示していくのだが、小道具のタネを少しずつ明かしていくことで、観客の登場人物の評価まで変えてしまうのに成功している。久しぶりに観ていて唸りました。こういう構成の映画はあまりないし(最近の洋画で「メメント」がまあこれに近い)、監督の頭の中で考えていた通りにいったのではないかと思う。しかし玉には瑕があった。
登場人物があまりにも淡々とし過ぎているのである。サラリーマンのキャラはあれで良いとしても、例えば元カノのキャラを状況に応じて変化させたほうが、素晴らしいホンに+αが生まれたのではないか、と悔やまれる。さっき“頭の中で考えた通り”と書いたが、これにはそういう意味も込めたつもり。なんとなくリメイクされそう、と観終わって感じたのも正直な気持ち。
この国にまた素晴らしい映画作家が現れたことに感謝。内田監督、次回作も期待してます。最後に、「わたしの貴重な時間を邪魔しなかった」たぶん皆さんの貴重な時間も邪魔しないだろう、をテーマにすると・・・
DVD鑑賞
☆☆☆☆―
| 固定リンク
コメント
はじめまして。
TBありがとうございます!
僕も脚本がしっかりしてないとダメなタイプです。
また見にこさせていただきます。
投稿: のり | 2006/04/21 13:11
トラバありがとうございます。
この映画はほんとに佳作です。映画のお手本のような。
しかし、“日本一のいい人>の表現は特に無かったようにおもいました。営業があおったんですかねぇ??
投稿: ろうそく | 2006/04/21 13:25
のり さん、
コメントありがとうございます。
私の場合、話に面白さがないと、2時間もたなくなっているのが現状です。そこからプラスアルファで、どう映画的に見せきってくれるのか、いつもそのあたりに期待しながら作品を見守っています。
投稿: lackofwords | 2006/04/22 05:48
ろうそく さん、
コメントありがとうございます。
映画のお手本・・・特典映像で、内田監督はワイルダーあたりが好みだとおっしゃってましたが、「部屋貸してよ」のセリフを聞いたとき、これ「アパートの鍵貸します」か?と予備知識のない私は思っちゃったものです。
日本一のいいひと・・・主演の中村靖日を見ていて草ナギ剛が浮かんできました。
投稿: lackofwords | 2006/04/22 06:16