« 道草(ネタバレありません)#704 | トップページ | 1月観戦記 »

道草(ネタバレありません)#705

「ミュンヘン」MUNICH

監督:スティーヴン・スピルバーグ

作品賞ノミネート(第78回アカデミー賞)

本作を含め、アメリカの現在を問いかける上で、非常に示唆に富む作品がオスカー候補に挙がったのがこの年のアカデミー賞の特徴だと思う(まだ全部観てないけど)。それ以前にスピルバーグの映画は大好きだし、「シンドラーのリスト」や「プライベート・ライアン」に対して好意的に感じている私としては、また彼の作品に触れることが出来ることに感謝。当時赤ん坊でリアルタイムの空気を知らない題材を鑑賞した。

1972年ミュンヘン事件によって運命が変わった一人のイスラエル人を中心に事件の後日譚を描く、のが本作のあらすじ。160分超という大作を前にして、果たして鑑賞に耐えうるのか、観る前の気がかりはこの一点。結果として、成功している、と言いたい。史実のパートはある程度全編に塗されていて、途中で混乱してもなんとかなるようにしているし、たくさんのキャラがごっちゃになることもなく物語を楽しんだ。「シンドラー~」、「~ライアン」同様、過激描写はあるもののテーマの関係上その必要性は納得がいく。そして私がこの話に上手く乗っていけた一番は、カメラマンのおかげ。70年代の映画にありがちなザラっとした雰囲気が非常に良く出てて、コスタ・ガブラスの「Z」とか思い出しちゃって、当時を追体験するのにかなり貢献していると思う。

お話自体は起承転結がハッキリしすぎていて、ラストがちょっとお定まりの感が否めませんが、とにかく長時間私を画面に張り付かせた技量に感服です。また本来この作品のテーマに対する是非について観た人それぞれにあるのでしょうが、ここではその議論をするのは止めた。だって私の映画を観る尺度は常に、「わたしの貴重な時間を邪魔しなかった」たぶん皆さんの貴重な時間も邪魔しないだろう、をテーマにしているので・・・

物足りない方にはただひたすら、スミマセン。

DVD鑑賞
☆☆☆☆―

iconicon

|

« 道草(ネタバレありません)#704 | トップページ | 1月観戦記 »

コメント

☆lackofwordsさん、こんにちは。
先だっては、本作でのTB、コメントをお寄せ頂きありがとうございました。当方でお返事した切りになっていて相済みません。仕事の方が少々落ち着きましたので遅まきながら...

本作は、「ミュンヘン・テロ」を引き起こしたパレスチナへのイスラエルによる報復を扱って、スピルバーグ自身の演出、技量の集大成とも言えようものを成し得ながら、幾世紀にも及ぶ二つの民族間の憎悪、流血、対立の歴史の果てにあるものに思いを及ぼさせるものと為っていたかと思え、僕に取っても圧巻の164分でした。

>本作を含め、アメリカの現在を問いかける上で、
>非常に示唆に富む作品がオスカー候補に挙がった
>のがこの年のアカデミー賞の特徴だと思う……

僕は、幸い、前回アカデミー賞の作品賞候補5作品(『ミュンヘン』、『ブロークバック・マウンテン』、『クラッシュ』、『グッドナイト&グッドラック』、『カポーティ』)の全てを昨年公開時に鑑賞出来たのですが、まさしく、lackofwordsさんが仰るようなところが揃ったかと改めて思い起こします

そして、確かに個々の作品がそれぞれに現在なお重いテーマを扱い、シリアスな肌理をまとった映画ではあったかと思いますが、僕に取っては『クラッシュ』には他の候補作に無いある種の身軽さを感じ取れました。本作は、クリスマスの頃のLAに於ける人種間のさまざまな軋轢、反感を核に置いた複数のエピソードを交差させながら、最終的にはLAという大都会を舞台にした一つの寓話に昇華させているようなところに冴えも身軽さも感じた次第です。僕は『クラッシュ』の作品賞受賞には納得させられています。

それでは、次の行き来が叶うことを心より楽しみにしています!

投稿: ダーリン/Oh-Well | 2007/02/16 17:55

ダーリン/Oh-Well さん、
ごぶさたです。TB&コメントありがとうございます。

今回のスピルバーグ作品、四星をつけたものの、彼の代表作かどうかは微妙です。基本的に映画は一期一会。観たときの印象を大事にしたいし、このブログでもそういったところを表現していきたい、そう思っています。なのでこの「ミュンヘン」お勧めしたい映画に疑問の余地はありません。

あとは勧める以上退屈してもらいたくない、ここに重きを置いて毎回見終わっては書き綴っています。新しいアカデミー作品賞の決定ももうすぐ。色褪せる前に早く前回候補作品を制覇したいと思います。

ダーリン/Oh-Wellさん、また近いうちにお訪ねしますノシ

投稿: lackofwords | 2007/02/19 14:46

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/106223/13730807

この記事へのトラックバック一覧です: 道草(ネタバレありません)#705:

» ミュンヘン [自主映画制作工房Stud!o Yunfat 映評のページ]
トリュフォーがヒッチコック映画を「殺しのシーンを愛のシーンのように描き、愛のシーンを殺しのシーンのように描く」と形容した。ヒッチコックもトリュフォーも敬愛しているハズのスピが、上のトリュフォー発言を拡大解釈したかのようなクライマックス   とうとう変態ぶりをさらけ出し始めたスピルバーグに拍手!!... [続きを読む]

受信: 2007/02/01 20:26

» ■〔映画鑑賞メモVol.9〕『ミュンヘン』(2005/スティーヴン・スピルバーグ) [太陽がくれた季節]
~「第20回冬季トリノ五輪開催記念」(^^)あれこれ―その2:ああ、ミュン篇(^^) →その1:ああ、トリノ五輪篇~僕のメダル獲得予想は「金3、銀3、銅4」は、こちら! →その3:ああ、名古屋篇~ストーンズ「名古屋公演」行くか行くまいか...は、こちら! おはようございます、ダーリン/Oh-Wellです! さて、2月12日の朝を迎えました。東京は穏やかな晴天です!! 私め、友人に誘われたこともあり、今週中に『ミュンヘン(2005/スティーヴン・スピルバーグ)』〔>1:IMD... [続きを読む]

受信: 2007/02/16 17:56

« 道草(ネタバレありません)#704 | トップページ | 1月観戦記 »