道草

道草(ネタバレありません)#801

「ドリームガールズ」DREAMGIRLS

監督:ビル・コンドン

音響賞Sound Mixing(第79回アカデミー賞)
外国映画ベストテン 第7位(キネ旬 2007年)
読者選出外国映画第4位(キネ旬 2007年)

昨年のアカデミー作品賞が決まった瞬間、だから「ドリームガールズ」は選ばれなかったのかな、と思った。スコセッシの映画以外の4作品はどれもアメリカ人が加担するには抵抗のある作品ばかりだったからだ。当時まだ予告編や表層でしかモノが言えなかったが、このミュージカル映画こそハリウッドが選ぶ最優秀作品として相応しいと感じたからだ(でなければスコセッシにオスカーを与える以外に、リメイクにオスカーを与える一分がない)。残念ながら観る機会は無いものと諦めていたところに、キネ旬がベストテンに選んで鑑賞の機会を得た。

3人の黒人女性グループがスターダムに伸し上がる過程での人間模様を描いたミュージカル。近年のミュージカルといえばオスカーを取った「シカゴ」があり、私も気に入っている内の一人で、その脚本を担当した方が今回監督・脚本ということだったのだが、正直期待はずれでした。なるほど歌は迫力があって見ごたえ、聞きごたえがあるのだが、どうにも映画的ではない。ただ単に舞台をスクリーンを通して見ているに過ぎないのがもったいなかった。とどのつまり舞台で見たら最高、ということなのだが。アカデミーはちゃんと見ていたのである。

ジャニファー・ハドソンはいい。こんなおいしい役はなく、オスカーは当然。監督の経歴を見てビックリ!「ゴッド&モンスター」の監督さんで、脚色賞を受賞している。ここでも監督ではなく脚本家、すでに定説だったということか。

最後に、「わたしの貴重な時間を邪魔しなかった」たぶん皆さんの貴重な時間も邪魔しないだろうをテーマにすると・・・

DVD鑑賞
☆☆☆――

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道草(ネタバレありません)#721

「嫌われ松子の一生」

監督:中島哲也

日本映画ベストテン 第6位(キネ旬2006年)

「下妻物語」でブッ飛んで以来、この作品を観るのを楽しみにしていました。なかなかタイミングが合わなかったものの、ようやく巡り合うことができ、もちろん期待一杯で鑑賞開始。

ある事件をきっかけに転がり落ちた若き中学教師の人生を描く、のが本作のあらすじ。観終わって思ったのは、話としては重くなってもおかしくはないストーリーなのだけれど、そこを面白く、時には笑ってしまうほどに転換しているのは、監督の演出力のなせるワザだな、と感心した。さすがは・・・と言いたいところなのだが、私としては前作ほど痛快!とは感じられなかった。どうも彼女のもつ重さ、執拗さというものを一元的に軽くしていいものかどうか、見ている間気になってしまったのだ。例えば、裏切られることの連続だった中谷美紀が一変して能動的に行動した狂気への過程、そのあたりに細やかさがあればなあ、と悔やまれてならない。

それにしても魅力的なキャラクターたちと、展開の速さは前作よりもパワーアップ。ダレずに観れた2時間余でした。

最後に、「わたしの貴重な時間を邪魔しなかった」たぶん皆さんの貴重な時間も邪魔しないだろうをテーマにすると・・・

DVD鑑賞
☆☆☆――

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道草(ネタバレありません)#720

「武士の一分」

監督:山田洋次

日本映画ベストテン 第5位(キネ旬 2006年)

公開当時、山田洋次というよりは、キムタクを前面に出した売り方をしていた。他の山田時代劇と比べて露出も多かったし。きちんとキムタクの芝居を観るのはCXの「眠れる森」以来だろうか。ともかく私は山田新作として観ました。

下級武士とその献身的な妻、二人が暗転に翻弄される姿を描く、のが本作のあらすじ。観終わって思ったのは、良いお話で丁寧に作られているんだけど、もうひとつ盛り上がらないのはなぜだろう、ということ。よくよく考えてみれば、前の2作に比べると、非常に個人的な話だ(藩という組織に翻弄されるわけではない)し、女性のアクションで話が動くのも他と異なる。男の行動がすごく弱々しく感じるのだ。決して話に破綻があるわけではないのだが、こちらにガツンと来ないのにはその辺りに理由があるのかもしれない。

ガツンとくるのは檀れいの所作、表情。初めて見る女優さんだけに印象に残りやすいが、宝塚出身だそうなので、是非近いうちに違った形で再見したい。

最後に、「わたしの貴重な時間を邪魔しなかった」たぶん皆さんの貴重な時間も邪魔しないだろうをテーマにすると・・・

DVD鑑賞
☆☆☆――

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道草(ネタバレありません)#719

「ディパーテッド」THE DEPARTED

監督:マーティン・スコセッシ

作品賞 Best Film(第79回アカデミー賞)
監督賞 Directing(第79回アカデミー賞)
脚色賞 Adapted Screenplay(第79回アカデミー賞)他

リメイクに賞をあげてはいかんだろう。今年のアカデミー賞で一番に思ったのはコレ。アカデミーは時に罪作りだ。スコセッシの代表作で一番に思い浮かぶのはたぶんこの作品ではないだろう。なのに歴史的には彼の名前を挙げる時、この作品が冠としてくっついてくる確率が高い。香港のオリジナルは私にとって☆4級なだけに、オスカーさえ取らなければ無視を決め込む予定だったのだが・・・鑑賞開始。

現代のボストン。アイリッシュ・マフィアと州警察の間で、素性を隠して二重生活を送る男の話。観終わって思ったのだが、やはりオリジナルの仏教的な部分が何かに置き換えられることなく話が作られていた。こうなるとカウンセリングの部分がただのロマンスにしかならないのも止むを得ない。百歩譲って良質のサスペンスか否かと問うてみてもどうだか。他の映画なら衛星で犯人を追い詰めるほどの警察力なのに、この体たらく・・・アメリカという舞台だとそのショボさに抵抗が生じる。

それでもエンディングを変えているのは、作り手として多少の意地を感じるし、文化の違いを越えてよくここまでやったなという感慨もある。日本でもこれを見習って是非日本版リメイクをプロデュースする輩はいないものか・・・

最後に、「わたしの貴重な時間を邪魔しなかった」たぶん皆さんの貴重な時間も邪魔しないだろうをテーマにすると・・・

DVD鑑賞
☆☆☆――

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道草(ネタバレありません)#718

「フラガール」

監督:李相日

日本映画ベストテン 第1位(キネ旬 2006年)

スパリゾートハワイアンズのことはいちおう知っている。頭にこびりついて離れないフレーズだけでなく、な~んでハワイ!?と、見る度どうしてもツッコミたくなってしまうCM。さらにこの映画の前後でフラが流行したこともあって、なんだか田舎の保養施設の域を脱した感のある様子(HPを見るとより一層一大リゾート地のような感じがする)。偏見はよくないので批評家にも読者にも愛された作品を鑑賞することにしよう。

昭和40年、廃れゆく福島の炭鉱町、街の再生の使命を受けフラダンスを踊る娘たちと先生のお話。お話の構造自体は「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」と同じ。私の中では最初にこのスタイルを提示してくれた前者を超えることはないのだが、本作に対しても新しさを感じることはなかった。どうしても最後の大団円を見せ場にしてしまうからだ。しかも決めのダンスを途中で見せてしまった(都合3回見る)のはいただけない。TVのバラエティではないが、メイキングのほうが面白い映画というのはどうも・・・

しかしフラを踊る松雪泰子、蒼井優は素晴らしい。ダンサーの雰囲気がそこにはあった。また岸辺一徳、今回もいい味出してます(^^;

最後に、「わたしの貴重な時間を邪魔しなかった」たぶん皆さんの貴重な時間も邪魔しないだろう、をテーマにすると・・・

DVD鑑賞
☆☆☆――

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道草(ネタバレありません)#717

「硫黄島からの手紙」LETTERS FROM IWO JIMA

監督:クリント・イーストウッド

音響編集賞Sound Editing(第79回アカデミー賞)
作品賞ノミネート(第79回アカデミー賞)
外国映画ベストテン 第2位(キネ旬 2006年)

「父親たちの星条旗」を通過していよいよここまでたどり着いた。3連覇疑問のエントリーでTBをいただいた方から「だっていいものはいいんだもの」というお言葉をいただいて、そうなのかぁと思う始末。いよいよこの目で確認してみよう。

栗林中将率いる日本軍が硫黄島を死守する様を描く。自分が日本人であることを抜きにしても、お話としての質を問われれば、こちらに軍配が上がるのは間違いない。上映時間は大して違わないのに、ボリュームに差がありすぎる。登場人物も皆魅力的に写るし、二宮くんを中心にあれよあれよと物語を紡ぐ様は、まさに映画。そういった部分が残されているのも良かった。

「~星条旗」の時に芽生えた、2つをひとつにしてみては、という目論見もあっさり撤回だ。並べたらアメリカ側の話が小っちゃすぎて客に飽きられてしまうだろう。ただ両作に共通して好感できるのはただひとつ、監督の作曲した音楽。あらためてセンスの良い使い方にも感嘆。

最後に、「わたしの貴重な時間を邪魔しなかった」たぶん皆さんの貴重な時間も邪魔しないだろう、をテーマにすると・・・

DVD鑑賞
☆☆☆☆―

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道草(ネタバレありません)#716

「父親たちの星条旗」FLAGS OF OUR FATHERS

監督:クリント・イーストウッド

外国映画ベストテン 第1位(キネ旬 2006年)

どうしても腑に落ちない気がしていたイーストウッド作品のキネ旬3連覇。「硫黄島2部作」とも言える2本がDVD化されたこともあって、2本同時に借りれるタイミングを計っていた。意外と早くこの時が来たことに感謝、そしていよいよ自分の目で、世論の目は正当だったのか判断する時が来た。

太平洋戦争末期、硫黄島の戦いで英雄に祭り上げられた若き兵士たちの、時代に翻弄される姿を描く。星条旗を掲げる兵士たちの写真は、目にしたことはあるし、何かの映画の中でも彫刻にされたものが出てきた。事ほど左様に有名な写真であることは、同時代を生きていない日本人にも分かるのだが、何が周知の事実で、何が知られざるストーリーなのかは判然としない。観ていて一番に感じたのは、この映画は何が言いたいのかはっきりしない、もしかしたらもうすでに言いたいことは出尽くされていて気がつかなかったのかも、と不安に感じながらラストシーンまで迎えてしまった。まさか「ヒーローは我々ではない、散っていった兵士たちだ」と言いたかっただけなのならば、全く新鮮味がないゾ!

いっそ長尺になっても一つにまとめたほうが良かったのでは。それくらいこの作品にはパンチ力がない。しかし「硫黄島~」を観て考えが変わる・・・

最後に、「わたしの貴重な時間を邪魔しなかった」たぶん皆さんの貴重な時間も邪魔しないだろう、をテーマにすると・・・

DVD鑑賞
☆☆☆――

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道草(ネタバレありません)#715

「太陽」Сoлнце

監督:アレクサンドル・ソクーロフ

外国映画ベストテン 第6位(キネ旬 2006年)

私は昭和生まれ。ゆえにこの映画の主人公の生前の姿を良く知っているつもりだ。教科書の中の事実、戦後の象徴としての立ち居振る舞い。この題材をロシア人が扱ったことに、そして新宿TSUTAYAでは、日本映画コーナーに置かれていることに、驚きを覚えつつ鑑賞開始。

終戦迫る1945年8月、昭和天皇とその周辺の人物を描く。正直この映画が終わった時には、なぜこのタイミングで終わらせるのか理解不能だったが、昭和天皇が行うある宣言をモチーフに話を進めていると考えると、この映画は成功の部類に入るのではないか。そしてイッセー尾形がこれに大きく貢献していることは間違いない。さらにただの物真似に終始させているだけではなく、美しいロングショットを織り交ぜることで、史実にありがちな生々しさを遠ざけて、寓話めいた雰囲気を作り出していて良かった。

まったくロシア人は出てこないし、ロシア的(=非日本的)な感情が発露してくるわけでもない。ソクーロフ監督の作品は初めて観たが、ロシア映画の伝統なのか、これほど客観的にモノを見れるものかと感嘆しきり。

最後に、「わたしの貴重な時間を邪魔しなかった」たぶん皆さんの貴重な時間も邪魔しないだろう、をテーマにすると・・・

DVD鑑賞
☆☆☆☆―

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道草(ネタバレありません)#714

「リトル・ミス・サンシャイン」LITTLE MISS SUNSHINE

監督:ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス

脚本賞Original Screenplay(第79回アカデミー賞)
助演男優賞Actor in a Supporting Role(第79回アカデミー賞)
作品賞ノミネート(第79回アカデミー賞)

今年のアカデミー作品賞候補に選ばれた時から是非観てみたいと思っていたし、子役のいるロードムービーと聞いて、もはやこれは、「ペイパームーン」や「パリ・テキサス」を思い出すまでもなく、名作の常套ではないかと、ワクワクしながら鑑賞開始。

幼い娘のミスコンに出場するため、家族総出で遠距離の大会(原題)へ向かうロードムービー。基本的にいい子役で映画は1割増し、ロードムービーというだけでさらに1割増しになりやすい(個人的には)。本作もその条件に適う作品だと思う。オスカー候補にもなった女の子はチャーミングだし、大会会場までの道中は、それはそれはいろんなことが起こる。しかしこれは前にも書いたが、旅の後には成長が求められる。ミスコン会場にたどり着き、この家族は一体何を得たのか?話の面白さは保障されているだけに、作り手にはここに全精力を注いで欲しかった。脚本賞受賞にはいささか難を示したい。

最後に、「わたしの貴重な時間を邪魔しなかった」たぶん皆さんの貴重な時間も邪魔しないだろう、をテーマにすると・・・

DVD鑑賞
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道草(ネタバレありません)#713

「カポーティ」Capote

監督:ベネット・ミラー

主演男優賞 Actor in a Leading Role(第78回アカデミー賞)
作品賞ノミネート(第78回アカデミー賞)
外国映画ベストテン 第7位(キネ旬 2006年)

文学に疎いワタクシ、彼の名前こそ知ってはいるものの、作品歴を見ても読んだ本はないし、「ティファニーで朝食を」の作者だったとは本編を観ていて初めて分かったほど。そんなこんなでオスカー候補になった作品を鑑賞開始。

作家トルーマン・カポーティが「冷血」を執筆する過程を描く、のが本作のあらすじ。観終わって、是非機会があれば「冷血」を読んでみたいと思ったが、彼の産みの苦しみ、とも呼べるものが上手く私のほうに伝わってこなかった。彼は一種ひらめきのようなもので、ある事件を追いかけるのだが、だんだんのめり込み、苦悩するその変化が分かりづらい。そんな状況と、彼がセレブたちと宴に興じている時との落差をもっとつけてくれれば、結果はともかく分かりやすかったかもしれない。印象的なクロースアップもなかったような気がするし(ただし彼が眼鏡をかけているから効果のほどは分からないが・・・)。

タイトル・ロールを演じた俳優の観察眼の良さは、オスカーとなって証明されたのだろうが、それは衣でしかない。中身を注入するのは監督の仕事。雰囲気作りやつながりは悪くなかったとは思うが、なにせ今回が劇場用として初のメガホン。次に期待したいものです。

最後に、「わたしの貴重な時間を邪魔しなかった」たぶん皆さんの貴重な時間も邪魔しないだろう、をテーマにすると・・・

DVD鑑賞
☆☆☆――

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